ワンちゃんネコちゃんに、こんな症状はありませんか?
このような症状に当てはまる場合、愛犬・愛猫が腫瘍系の病気にかかっているかもしれません。
- しこりやイボを見つけた
- 出血がある
- 下痢・軟便になった
- 便の色が異常
- 血尿が出た
- ふらついている
- 体重が減った
- お腹がはっている
- 疲れやすくなった
- 散歩を嫌がるようになった
撫でているときにしこりに気づいても、「歳のせいかな?」と思いがち…。
不調を訴えられないワンちゃんネコちゃんのために、ささいなことでも相談してください。
腫瘍系の病気について
腫瘍(しゅよう)とは、簡単に言うと「細胞が異常に増殖している」状態です。
皮膚や内臓・血液などさまざまな場所に”かたまり”が発生します。
腫瘍には転移してしまう「悪性腫瘍」と、その場で大きくなる「良性腫瘍」があります。
「悪性腫瘍」はいわゆる”ガン”で、まわりの正常な組織に広がり、命に関わることも…。
見た目だけでは「悪性腫瘍」「良性腫瘍」どちらかを判断できないので、早めに病院で相談しましょう。
ここではワンちゃん・ネコちゃんそれぞれに多い腫瘍疾患を紹介します。
ワンちゃんに多い腫瘍疾患
- 肥満細胞腫:皮膚にしこりができます。太っているかどうかは関係ありません。
- 乳腺腫瘍:おなかにしこりができます。避妊手術をしていないメスによく見られます。
- 皮膚組織球腫:顔や足にドーム状の丸いできものができます。2〜3歳で発症します。
- 骨肉腫:足の骨に発生し、歩きにくくなります。大型犬〜超大型犬種によく見られます。
ネコちゃんに多い腫瘍疾患
- リンパ腫:主な症状は食欲不振・体重減少。白血球の一種であるリンパ球が腫瘍になります。
- 乳腺腫瘍:おなかにしこりができます。8歳以上のメスによく見られます。
- 扁平上皮癌:鼻や耳の皮膚がただれたり、できものが複数できたりします。
腫瘍の診断・検査内容
腫瘍系の疾患で行われる主な検査は以下の通りです。
初めての来院時
まずはしっかりと問診・一般身体検査を行います。
しこりの場所を触診しますので、症状・動物種・年齢・既往歴などをお話しください。
おおまかにワンちゃん・ネコちゃんの状態を把握し、必要な検査を決定します。
細胞診検査
しこりに針を刺して細胞を採取し、診断する方法を「細胞診」と言います。
しこりがただの炎症なのか腫瘍なのか、腫瘍なら悪性腫瘍なのか良性腫瘍なのかを確認します。
細胞診で使う針はとても細く、ワンちゃん・ネコちゃんへの負担が少なく、痛みもほぼありません。
血液検査
血液検査では高カルシウム血症や低血糖など腫瘍随伴症候群を確認します。
ワンちゃん・ネコちゃんに「抗がん剤が使用できるか」「手術に耐えられるか」を判定するためにも使われます。
画像検査
胸やお腹・骨など外から触ってもわからないような部位には、レントゲン検査や超音波(エコー)検査・CT検査を行います。
腫瘍の発見・転移の確認など状況に合わせて使い分けます。
尿検査
ワンちゃん・ネコちゃんが血尿をした場合、膀胱・前立腺・尿道の腫瘍を確認するために尿検査を行います。
膀胱や腎機能の異常を見つけます。
腫瘍の治療
腫瘍の治療は外科治療・薬物療法・放射線治療が基本になります。
腫瘍の大きさ(ステージ)や健康状態・飼い主さんの予算や考え方を踏まえた上で決定します。
発見が早ければ早いほど治療効果が期待できるため、気になることがあれば早めに病院にご相談ください。
※当院で実施することが困難な治療では他の動物病院を紹介する場合があります。
外科治療(手術)
ワンちゃん・ネコちゃんに全身麻酔を打ち、腫瘍やそのまわりなどを取り除きます。
腫瘍の転移がなく、切除しやすい場合に行われます。
完全に切除できれば完治も可能です。
また、完全切除ができなくとも腫瘍のサイズを小さくすることで他の治療効果を高めます。
薬物療法(抗がん剤)
手術に適していない場合や腫瘍が転移している場合には抗がん剤が選択肢にあがります。
ドラマやマンガのイメージが強く、「うちの子に抗がん剤なんて…」「もっと苦しめてしまうのでは?」と悩むかもしれません。
しかし人間とは違い、ワンちゃん・ネコちゃんには副反応はあまり出ないため通院での治療が可能です。
入院が必要なほどの副作用が出る確率は5%と言われるほどです。
薬物療法では完治を目指すというよりも、QOL(生活の質)を維持することを目的としています。
そのためお薬の量が少なく済み、副作用もほぼないのです。
治療効果とリスクをよく確認した上で、薬物療法を受けるかどうか判断しましょう。
放射線治療
放射線治療は腫瘍の成長を緩やかにする、または縮ませる効果があります。
メリットは「切らずに治療ができる」点です。
外科手術が向かない場所や腫瘍が大き過ぎる場合の治療法に選ばれます。
ただし、放射線は腫瘍だけでなく正常な細胞にも影響するため、皮膚炎・脱毛などを引き起こすことも…。
皮膚が再生すれば数ヶ月でもとに戻りますが、その間ワンちゃん・ネコちゃんを見るたびに「かわいそう」と思うかもしれません。
あなた(飼い主さん)がどうしたいのか、考えてみましょう。
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<2019年1月更新>